眼鏡作製技能士になるには?眼鏡作製技能士の資格内容や勉強方法などを解説
眼鏡作成の資格として、「眼鏡(がんきょう)作製技能士」という国家資格が存在します。眼鏡作製技能士になると、販売員は認定バッジを身に着けられることができ、「眼鏡を作る知識に精通したスタッフ」というアピールになります。
この記事では、眼鏡作製技能士の試験を実施している「眼鏡作製技能検定」の公式サイトの情報を元に、資格の内容や試験の合格率等について解説していきます。
目次
眼鏡(がんきょう)作製技能士とは、厚生労働省に認められている国家資格
眼鏡作製技能士とは、厚生労働省が令和3年8月に新設した国家資格で、読み方は「がんきょうさくせいぎのうし」と言います。
眼鏡はファッションアイテムとしての一面を持ちますが、本来は近視や乱視など眼の見え方を補うためのものです。
眼の見え方は個人によって異なるので、一人一人の「適切な診断・治療」と「適切な眼鏡作製」の双方の実現に向けて、設立された国家資格になります。
技能検定「眼鏡作製職種」を新設しました
引用:厚生労働省|技能検定「眼鏡作製職種」を新設しました
厚生労働省は、このたび、「職業能力開発促進法施行規則」および「職業能力開発促進法第47条第1項に規定する指定試験機関の指定に関する省令」の一部を改正し、「技能検定」の職種に「眼鏡作製職種」を新設しました。また、これに伴い、試験業務を行う指定試験機関として、「公益社団法人日本眼鏡技術者協会」を指定しましたので、公表します。
技能検定「眼鏡作製職種」の新設は、多様化・高度化する顧客のニーズに伴い、「適切な診断・治療」と「適切な眼鏡作製」の双方の実現に向けて、眼鏡技術者が眼科専門医と連携しつつ、国民により良い眼鏡を提供し、目の健康を守れるよう、眼鏡作製の技能を高めていくことを目的としています。
眼鏡作製技能士は「眼鏡のエキスパート」と認められた証
眼鏡作製技能士は、眼鏡作製の総合エキスパートであり、眼鏡を作製する際に以下の流れを全てできないといけません。
●お客様の眼鏡の使用状況、使用目的を把握 ●視力の測定 ●レンズ、フレームの販売 ●加工前作業 ●レンズ発注、加工 ●フィッティング ●引き渡し ●アフターケア |
以上の業務ができるよう、眼鏡の総合エキスパートとして、以下のような知識や能力を身につけていることが求められます。
知識 | 能力 |
---|---|
●視機能 ●光学 ●商品 ●眼鏡販売 ●加工作製 ●フィッティング ●企業倫理やコンプライアンスに関する、幅広い知識 ●眼鏡業界に関する、専門的な知識 | ●お客様のニーズをくみ取る、コミュニケーション能力 ●お客様に合った眼鏡を作製する、測定・加工・フィッティング能力 ●お客様に正しい装用や取り扱いを説明する、説明能力 |
出典:眼鏡作製技能検定 – 公式サイト | 眼鏡技術者の国家検定資格
現在ではスマホやPCなどのデジタルデバイスの普及により、眼にかかる負担が数十年前と比べて変わってきました。
そのため常に消費者の眼の状態や健康を把握して、眼鏡の知識に精通した、眼鏡作製のプロフェッショナルを計るための“ものさし”として、この資格は必要と言えます。
眼鏡作製技能士には1級と2級がある
眼鏡作製技能士の等級には1級と2級の2つが存在し、求められる水準や受験資格が異なります。
眼鏡作成技能士の1級と2級で求められる水準は、以下の通りです。
1級【後進の目標となる眼鏡作製技能士】
引用:眼鏡作製技能検定 – 公式サイト |等級別の詳細内容
眼鏡市場のトレンドを把握し、顧客の眼鏡に関する潜在的なニーズをくみ取り、最新の技術で製造されたレンズ、フレームを活用し、顧客に最適な眼鏡の提案ができる。眼鏡作製に必要な詳細な知識・技能を身につけているのみならず、それらを体系的に理解しており、他の眼鏡作製従事者の指導や育成を実施することが可能である。眼鏡作製知識・技術だけでなく、コンプライアンス、眼科専門医との連携に関する十分な知識を持ち、総合的なマネージメント能力を持つ。
2級【業界のベースとなる眼鏡作製技能士】顧客の眼鏡に関するニーズをくみ取り、販売されているレンズ、フレームを活用し、適切な眼鏡の提案ができる。眼鏡作製に必要な概略の知識・技能を身につけており、顧客のニーズに応じた眼鏡を作製する事が出来る。
2級の場合は、眼鏡作製についての知識やお客様とのコミュニケーション能力が求められます。
1級の場合はそれらに加えて、2級を含めた眼鏡作製従事者の指導や育成を実施するなどの、マネージメント的な能力が必要です。
また眼科専門医との連携に関する知識や、コンプライアンスの徹底も求められます。
眼鏡作製技能士2023年の合格率は「1級:22.67%」「2級:44.04%」で難易度は高い
2023年に実施された眼鏡作製技能士の試験ですが、5月17日に学科試験が全国で行われ、8月頃に各都道府県ごとに実技試験が開催されました。
まずは学科試験に合格しないと実技試験を受けられず、さらに実技試験に合格しないと資格取得とはなりません。
2023年に行われた、眼鏡作製技能士・試験の1級・2級の合格者は以下の通りです。
学科試験 | 実技試験 | 合格率 | |
---|---|---|---|
1級 | 受験者数:300人 合格者数:113人 | 受験者数:113人 合格者数:68人 | 22.67% |
2級 | 受験者数:1612人 合格者数:966人 | 受験者数:966人 合格者数:710人 | 44.04% |
出典:眼鏡作製技能検定 – 公式サイト | 試験結果・合格発表
合格率は低く、難易度は高いと言えます。ただし、2022年の試験は1級の合格率が4.81%、2級の合格率が30.66%だったので、2023年は合格率が大幅にアップしました。
一度試験に落ちても、勉強しなおして再び試験に臨めば、合格する確率はグッと上がります。
眼鏡作製技能士に合格すると、合格証書と認定バッジが届く
画像引用元:Glass Factoryブログ記事
眼鏡作製技能士に合格すると、合格証書と認定バッジが届きます。認定バッジを身に着けることはスタッフや店舗、消費者にとってメリットがあります。
販売員にとっては「眼鏡を作る知識に精通したスタッフ」ということをアピールでき、お店にとっても「質の高い販売員がいるお店」というアピールになります。
そして眼鏡を購入する人にとっては、眼の悩みや眼鏡の相談をする優秀な販売員を探す目印となります。
眼鏡作製技能士の勉強方法
眼鏡作製技能士の勉強方法は、問題集を購入したり過去問題から勉強したりする方法、専門学校でじっくりと教わるやり方があります。
問題集を購入したり、過去問題から勉強したりする
実は眼鏡作製技能士に向けた勉強方法は、眼鏡作製技能検定 の公式サイトから確認できます。たとえば2023年5月17日実施された試験については、約1ヶ月後の6月14日に問題と解答が公開されました。
2022年の問題や解答も合わせて掲載されており、眼鏡技能検定試験標準テキストも確認できます。
これから試験を受ける人は、過去問を繰り返し解いて対策を練り、眼鏡技能検定試験標準テキストを使って勉強するのがおすすめです。
専門学校に通う
眼鏡作製技能士の資格を取得して、眼鏡に関する仕事に本格的に就きたい場合は、専門学校に通って勉強しましょう。
眼や眼鏡に関する知識、眼鏡を作製する際の実技についてもじっくりと学べるので、全く知識がない人におすすめです。
眼鏡作製技能士についての、その他の疑問・質問
こちらでは眼鏡作製技能士についての、その他の疑問・質問について解答していきます。
Q.眼鏡作製技能士と認定眼鏡士の違いは何ですか?
A.国家資格と民間資格の違いです。
認定眼鏡士制度は、2001年にスタートした民間資格で2022年3月末に終了し、国家資格「眼鏡作製技能士」へと移行しました。
Q.認定眼鏡士の資格を持っている場合、眼鏡作製技能士の試験は免除できますか?
A.特別講習を受けて、修了試験に合格すれば可能です。
たとえばSSS級認定眼鏡士の場合、1級眼鏡作製技能士特例講習を受講して修了試験に合格すれば、1級の学科試験及び実技試験の全部を免除できます。
Q.受験費用はいくらですか?
A.1級2級ともに、学科試験8,900円/実技試験29,900円です。
眼鏡作製技能士についてのまとめ
国家資格としてはまだまだ浅い眼鏡作製技能士ですが、眼鏡販売員の知識と能力向上において、これからは欠かせない資格となるでしょう。
しっかりとした知識をつけて、眼鏡作製技能士の認定バッジを身に着けた販売員になることをオススメします。